特殊商品売買の出題区分は、次のようになっています。

・未着品売買

・委託売買

・受託売買

・割賦販売(販売基準、回収基準)

・試用販売

・予約販売

◆未着品売買

遠隔地の取引先との間で商品の売買が行われる場合に、売主は商品の発送と同時に、貨物代表証券(貨物引換証、船荷証券)を買主に対して先に送付します。買主は貨物代表証券を先に受け取り、後日、それと引き換えに商品を受け取ることになります。

買主は、商品が到着してから仕入を計上することになりますが、貨物代表証券を受け取ってから商品到着までに相当の日数を要したり、商品が到着する前に、貨物代表証券のまま商品を売却することもあります。

そこで、未だ到着していない商品であっても、貨物代表証券によって仕入が確定している商品については、未着品勘定で処理をしておきます。

●貨物代表証券を受け取った時の処理(商品未到着)

未着品 ×× 買掛金 ××

●貨物代表証券を受け取りと同時に荷為替を引き受けた時の処理

未着品 ×× 支払手形 ××

●貨物代表証券と引き換えに商品を引き取った時の処理

仕入 ×× 未着品 ××
        現金  ×× → 引取運賃などを支払った場合には、仕入に含める

●商品未到着で、貨物代表証券のまま売却した時の処理

当座預金 ×× 未着品売上 ××
仕入     ×× 未着品    ××

●決算時の処理

決算時に商品が到着していない場合には、未着品の残高を仕入に振り替え、期末商品棚卸高に加える


仕入      ×× 未着品 ××
繰越商品 ×× 仕入   ×× → 未着品の部分を加える

◆委託販売

委託販売とは、取引先と一定の契約を結び、事前に商品を発送して販売を委託する取引をいいます。

委託販売のために、商品を発送しても、商品の所有権は委託者にあるため、その時点では売上とはなりません。まず、委託した側の処理を説明します。

●商品発送時の処理

積送品 ×× 仕入 ×× → 原価で振り替える
              現金 ×× → 発送運賃なども積送品に含める

●売上計算書の入手時など

委託販売における売上の計上時期は、原則として受託者が商品を販売した時点であるが、売上計算書が販売のたびに送付されてくる場合には、売上計算書の到着日に売上を計上することも認められている。また、売上の計上方法には、総額主義と純額主義とがある。

(1)総額主義…受託者の売上金額を計上する

当座預金    ×× 積送品売上 ××
保管料     ××
支払手数料 ××

(2)純額主義…受託者の手数料等を差し引いた正味手取額で計上する

当座預金  ×× 積送品売上 ××

●決算時の処理

売却されていない積送品の残高を仕入に戻し、期末商品棚卸高に加える。

仕入      ×× 積送品 ××
繰越商品 ×× 仕入   ×× → 積送品の部分を加える

◆受託販売

委託販売において、受託した側の処理です。委託者との債権・債務を記録するために、受託販売勘定を設けて処理していきます。

●商品受入時の処理

委託者から商品が送られてきても、商品の所有権は委託者にあるため仕入取引ではないので、仕訳は不要。

●立替の保管料等の支払時の処理

受託販売 ×× 現金 ××

●受託商品の販売時の処理

当座預金 ×× 受託販売 ××

●売上計算書作成時・販売代金の支払い時の処理

受託販売 ×× 受取手数料 ××
                当座預金  ××

なお、受託販売勘定は、最終的には残高は0になります。

◆委託買付

委託買付とは、取引先と一定の契約を結び、買付け(仕入)を委託する取引をいいます。まず、買付けを委託する側の処理です。受託者との債権・債務を記録するために、委託買付勘定を設けて処理します。

●買付の委託時、内金支払い時の処理

委託買付 ×× 現金 ××

●買付計算書とともに商品を入手した時の処理

仕入 ×× 委託買付 ××

●代金支払い時の処理

委託買付 ×× 現金 ××

◆受託買付

買付けの委託を受けた側の処理です。委託者との債権・債務を記録するために、受託買付勘定を設けて処理します。

●買付の受託時、内金受け取り時の処理

現金 ×× 受託買付 ××

●商品の買付、代金立替払い時の処理

受託買付 ×× 現金 ××

●商品の発送、計算書送付、残金請求時の処理

受託買付 ×× 受取手数料 ××

●代金受け取り時の処理

現金 ×× 受託買付 ××

◆割賦販売

割賦販売とは、商品やサービスの販売代金を一定期間に分割して受け取る条件で販売する方法です。割賦販売では、代金を全額回収するまでに長期間になることから、貸し倒れの可能性も高くなります。そこで、その期に入金した金額だけを売上として計上する方法(回収基準)も認められています。

●販売時の処理

(1)販売基準

売掛金 ×× 割賦売上 ××

(2)回収基準…対照勘定法

割賦売掛金 ×× 割賦仮売上 ××

●代金回収時の処理

(1)販売基準

現金 ×× 売掛金 ××

(2)回収基準…対照勘定法

現金        ×× 割賦売上   ××
割賦仮売上 ×× 割賦売掛金 ××

●決算時の処理

(1)販売基準

通常の販売と同じ

(2)回収基準…対照勘定法

次によって求めた、未回収分の原価部分を期末商品棚卸高に加える。
期末商品棚卸高に加算する原価=割賦売掛金残高(対照勘定残高)×割賦売上原価/割賦売上高

繰越商品 ×× 仕入 ××

◆試用販売

試用販売とは、一定期間、得意先に商品を試用してもらい、得意先が購入の意思表示をした場合には売買が成立するが、購入意思がない場合には返却してもらうという条件で行われる販売です。従って、得意先に商品を発送とした時点では、正規の売上ではありません。

処理の方法として、対照勘定法と手許商品区分法の2つがあります。

●商品発送時の処理

(1)対照勘定法

試用販売売掛金 ×× 試用販売仮売上 ×× →売価で記入

(2)手許商品区分法

試用品 ×× 仕入 ×× →原価で記入

●購入の意思表示があった時の処理

(1)対照勘定法

売掛金            ×× 試用売上         ××
試用販売仮売上 ×× 試用販売売掛金 ××

(2)手許商品区分法

売掛金 ×× 試用売上 ××
仕入    ×× 試用品   ××

●試用品返却時の処理

(1)対照勘定法

試用販売仮売上 ×× 試用販売売掛金 ××

(2)手許商品区分法

仕入 ×× 試用品 ××

●決算時の処理

決算期末時になっても購入の意思表示がないか、返却の通知はあったが商品が返却されていない場合には、次の処理が必要になります。

(1)対照勘定法

繰越商品 ×× 仕入 ××

(2)手許商品区分法

仕入       ×× 試用品 ×× 
繰越商品 ×× 仕入    ××

◆予約販売

予約販売とは、顧客より予約金を受け取り、将来商品やサービスを提供することを約束する販売形態です。予約金を受け取っただけでは販売となりませんので、前受金で処理しておきます。実際に、商品やサービスを提供した時点(一部でも)で売上を計上します。

●予約金を受け取った時の処理

現金 ×× 前受金 ××

●商品やサービスを提供した時の処理

前受金 ×× 売上 ××

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プロフィール

税理士 内山誠
東京税理士会 青梅支部所属
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内山経営会計事務所

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