手形

◆裏書、割引

手形を割引、裏書した場合の処理方法として、３通りほどあります。

●裏書

(1)受取手形を直接減少させる方法

①裏書きした時

買掛金　　　　   ××　受取手形　××
保証債務費用  ××　保証債務　××

②期日に決済された時

保証債務　××　保証債務取崩益　××

(2)対照勘定法

①裏書きした時

買掛金　　　　   ××　受取手形　××
裏書義務見返　××　裏書義務　××
保証債務費用　××　保証債務　××

②期日に決済された時

裏書義務　××　裏書義務見返　   ××
保証債務　××　保証債務取崩益　××

(3)評価勘定法

①裏書きした時

買掛金　　      ××　裏書手形　××
保証債務費用　××　保証債務　××

②期日に決済された時

裏書手形　××　受取手形　　　    ××
保証債務　××　保証債務取崩益　××

●割引

(1)受取手形を直接減少させる方法

①割引した時

当座預金　　　  ××　受取手形　××
手形売却損　   ××
保証債務費用　××　保証債務　××

②期日に決済された時

保証債務　××　保証債務取崩益　××

(2)対照勘定法

①割引した時

当座預金　　    ××　受取手形　××
手形売却損 　  ××
割引義務見返　××　割引義務　××
保証債務費用　××　保証債務　××

②期日に決済された時

割引義務　××　割引義務見返　　 ××
保証債務　××　保証債務取崩益　××

(3)評価勘定法

①割引した時

当座預金　　　  ××　割引手形　××
手形売却損　　 ××
保証債務費用　××　保証債務　××

②期日に決済された時

割引手形　××　受取手形　 　     ××
保証債務　××　保証債務取崩益　××

◆不渡

手形が不渡りとなった場合には、不渡手形という科目で処理することになります。

なお、償還請求諸費用、拒絶証書作成費用、延滞利息などを支払った場合には、その金額も、不渡手形勘定に含めます。

手持ちの分か、裏書した分か、割引した分かによって、次のような処理をします。

●手持ち手形が不渡りとなった場合

不渡手形　××　受取手形　　      ××
　　      　　　    現金　　　　　　     ××
保証債務　××　保証債務取崩益　××

●裏書した手形が不渡りとなった場合

(1)受取手形を直接減少させる方法で処理している場合

不渡手形　××　当座預金　 　     ××
保証債務　××　保証債務取崩益　××

(2)対照勘定法で処理している場合

不渡手形　××　当座預金　　　    ××
裏書義務　××　裏書義務見返 　  ××
保証債務　××　保証債務取崩益　××

(3)評価勘定法で処理している場合

不渡手形　××　当座預金　　　     ××
裏書手形　××　受取手形　　       ××
保証債務　××　保証債務取崩益　××

●割引した手形が不渡りとなった場合

(1)受取手形を直接減少させる方法で処理している場合

不渡手形　××　当座預金　　　　   ××
保証債務　××　保証債務取崩益　××

(2)対照勘定法で処理している場合

不渡手形　××　当座預金　　　　   ××
割引義務　××　割引義務見返　　 ××
保証債務　××　保証債務取崩益　××

(3)評価勘定法で処理している場合

不渡手形　××　当座預金　　　    ××
割引手形　××　受取手形　　　    ××
保証債務　××　保証債務取崩益　××

◆更改

手形の更改（書換えともいう）とは、資金繰りの関係から支払期日に手形を決済できなくなった手形の債務者（支払い側）が、手形債権者（受取り側）に対して、期日の延長を要請し、承諾された場合に、新たな手形を振り出して、旧手形と交換することをいいます。

交換に当たって、利息の受払いが行われますが、その利息は、現金等で受払いする場合と、新手形に含める場合とがあります。

支払い側、受取り側、それぞれの処理は次の通りとなります。

●支払い側

(1)利息を現金等で支払う場合

支払手形　××　支払手形　××
支払利息　××　現金  　　 ××

(2)利息を新手形に含める場合

支払手形　××　支払手形　××
支払利息　××

●受取り側

(1)利息を現金等で受取る場合

受取手形　××　受取手形　××
現金　  　××　 受取利息　××

(2)利息を新手形に含める場合

受取手形　××　受取手形　××
　　　　            受取利息　××

◆為替手形

為替手形については、３級で学習済みの項目ですが、２級でも出てきますので、改めて概要を説明しておきます。

為替手形は、売掛金などの債権を持っている振出人が、支払人に対して一定の期日までに一定の金額を受取人に支払うことを委託する証券です。

通常の為替手形では、３社が関係してきます。それぞれの、処理は次の通りとなります。

●振出人

買掛金　××　売掛金　××

●支払人（名宛人、引受人）

買掛金　××　支払手形　××

●受取人

受取手形　××　売掛金　××
　

◆自己受、自己宛為替手形

為替手形について、２級として、特殊な為替手形として３項目が出題されます。

●自己受為替手形

自己を受取人として為替手形を振り出す場合があります。これを、自己受為替手形といいます。

通常の為替手形では、３社が関係してきますが、自己受為替手形は、２社だけでの取引となります。受取人＝振出人となり、支払人との関係となります。それぞれの処理は次の通りとなります。

(1)受取人＝振出人の処理

受取手形　××　売掛金　××

(2)支払人（名宛人、引受人）の処理

買掛金　××　支払手形　××

●自己宛為替手形

内部統制などの目的から、本店が特定の支店を支払人として為替手形を振り出すことがあります。これを、自己宛為替手形といいます。

自己宛為替手形も、２社だけでの取引となります。支払人＝振出人となり、受取人との関係となります。それぞれの処理は次の通りとなります。

(1)支払人＝振出人の処理

買掛金　××　支払手形　××

(2)受取人の処理

受取手形　××　売掛金　××

◆荷為替手形

遠隔地にある取引先と商品の売買を行う場合、売主は売上代金を早期に回収するために、運送中の商品を担保として、買主を支払人とする為替手形を振り出して、この手形を銀行にてすぐに割り引くという方法がとられることがあります。これを荷為替手形の取り組みといいます。

通常は、荷為替は、売上代金の７０％〜８０％で取り組まれ、残額は掛けとなり、売掛金で処理します。

ここでは、売主（荷為替を取り組む側）での処理を説明します。引き受ける側については、後日といたします。仕訳は次のようになります。

当座預金　   ××　売上　××
手形売却損　××
売掛金　　   ××