◆本支店間の取引

支店を設けた場合には、その支店の取引を記帳する方法として2つあります。

①本店集中会計制度

支店の取引は、すべて本店に報告し、本店にて記録する。

②支店独立会計制度

支店として独自に帳簿を設けて、支店の取引のすべてを記録する。

以下、支店独立会計制度を前提として、見てまいります。

支店独立会計制度では、本店と支店との取引を記録するために、本店側に「支店」勘定が、支店側に「本店」勘定が設けられます。「支店」勘定と「本店」勘定の残高は、貸借反対で必ず一致いたします。

それでは、本支店間の取引について、いくつか見ていきます。

①現金の送金…支店から本店へ現金を送金

本店の仕訳…現金 ×× 支店 ××
支店の仕訳…本店 ×× 現金 ××

②商品の送付

本店から支店へ商品送る場合は、価格の決め方に3通り考えられます。

イ.原価による方法
ロ.原価に一定の利益を加算した金額とする方法
ハ.外部への通常の販売価格とする方法

試験では、ロの方法で出題されますので、こちらを前提として見てまいります。

本店の仕訳…支店 ×× 支店へ売上 ××
支店の仕訳…本店より仕入 ×× 本店 ××

③他店の債権の決済…支店の売掛金を本店が現金で回収

本店の仕訳…現金 ×× 支店 ××
支店の仕訳…本店 ×× 売掛金 ××

④他店の債務の決済…本店の買掛金を支店が小切手振り出し払い

本店の仕訳…買掛金 ×× 支店 ××
支店の仕訳…本店 ×× 当座預金 ××

⑤他店の費用の立て替え…本店の出張旅費を支店が現金で立て替え払い

本店の仕訳…旅費交通費 ×× 支店 ××
支店の仕訳…本店 ×× 現金 ××

⑥支店の当期純利益の振り替え

支店として決算を行い、計算された当期純利益は本店に振り替えられます。

本店の仕訳…支店 ×× 損益 ××
支店の仕訳…損益 ×× 本店 ××

◆支店相互間の取引

支店が2つ以上ある場合の支店相互間の取引を処理する方法として、2つあります。

①支店分散制度

支店相互間の取引で生じた貸借関係は、それぞれの支店で、相手の支店名をつけた○○支店勘定で処理します。この制度では、支店相互間の取引は本店の帳簿には記入されませんので、本店で支店間の取引を正確に知ることが出来ません。

A支店からB支店に現金を送金した場合を例にすると次のようになります。

A支店の仕訳…B支店 ×× 現金 ××
B支店の仕訳…現金 ×× A支店 ××
本店…仕訳なし

②本店集中制度

支店相互間の取引を、それぞれの支店が、本店と取引をしたように処理します。この制度では、それぞれの支店は相手の支店勘定は使用せず、本店で処理します。本店は、それぞれの支店名をつけた○○支店勘定で処理します。

A支店からB支店に現金を送金した場合を例にすると次のようになります。

A支店の仕訳…本店 ×× 現金 ××
B支店の仕訳…現金 ×× 本店 ××
本店…B支店 ×× A支店 ××

※支店相互間の取引については、試験では、第1問の仕訳問題としての出題が考えられますので、押さえておいて下さい。

◆本支店合併貸借対照表・損益計算書の作成

●合併貸借対照表・損益計算書作成の流れ

未達事項の整理
   ↓
期末修正事項の整理
   ↓
本支店勘定科目の合算

●未達事項の整理

本支店間の取引では、本店では支店勘定に、支店では本店勘定に貸借反対で同じ金額が記入され、その残高は、貸借反対で一致します。

しかし、決算に当たって、その残高が一致しない場合があります。

これは、一方の店で送った現金や商品が到着していなかったり、一方の店での取引が他方の店に報告されていなかったりするために生じます。このような取引を未達取引といい、本支店それぞれの決算の過程で修正が必要になります。どちら側の店で未処理であるのか考えて、修正仕訳をすることになります。

未達事項の例として次のようなものがあります。

①支店から本店へ送った現金が未達

本店 → 未達現金 ×× 支店 ××

②本店から支店へ送った商品が未達

支店 → 未達商品 ×× 本店 ××

③支店は本店の売掛金を回収したが、この通知が本店へ未達

本店 → 支店 ×× 売掛金 ××

④本店は支店の買掛金を立替払いしたが、この通知が支店に未達

支店 → 買掛金 ×× 本店 ××

⑤支店は本店の営業費を立替払いしたが、この通知が本店に未達

本店 → 営業費 ×× 支店 ××

未達事項の整理仕訳が終わりましたら、ここで、「支店」と「本店」の残高が貸借反対一致するかどうかを確認しておきます。

また、「支店へ売上」と「本店より仕入」も一致していないことが多いです。これは、未達商品があるためです。未達商品の金額を「本店より仕入」にプラスすると、両勘定も一致します。

「支店」と「本店」及び「支店へ売上」と「本店より仕入」は、内部取引高として合併の財務諸表では、相殺消去することになります。

●期末修正事項の整理
本支店合併の財務諸表でも、期末修正事項がいくつか出てきます。その内容は、貸倒引当金の見積りや減価償却など、通常の決算の問題とほとんど同じです。

本支店の期末修正事項として新たな項目が、内部利益の控除です。これが、本支店の一番のポイントになります。

●内部利益の控除

本支店間で商品の送付が行われる時に、本店が原価に一定の利益を加算した金額で支店に送った場合で、その商品が支店において期末に在庫として残った場合に、その商品に含まれている利益はまだ実現していない利益となります。この利益を内部利益といい、合併の財務諸表作成の際に控除する必要があります。

内部利益の控除は、期首商品棚卸高と期末商品棚卸高のところに関係してきます。

①期首商品棚卸高

期首商品棚卸高に内部利益が含まれている場合には、次の仕訳をします。

繰延内部利益 ×× 内部利益戻入 ××

合併の損益計算書では、期首商品棚卸高から直接控除して表示します。

②期末商品棚卸高

期末商品棚卸高に内部利益が含まれている場合には、次の仕訳をします。なお、未達商品について、期末商品棚卸高及び内部利益を計算する際に加算するのを忘れないようにして下さい。

内部利益控除 ×× 繰延内部利益 ××

合併の損益計算書では、期末商品棚卸高から直接控除して表示します。合併の貸借対照表では、商品から直接控除して表示します。

③棚卸減耗費

試験問題によっては、棚卸減耗費にも内部利益が含まれている場合もありますので、その場合には控除して下さい。

●本支店勘定科目の合算

最後に、残高試算表の本店支店それぞれの金額を合算し、未達事項を加算減算し、期末修正事項を加算減算して、貸借対照表と損益計算書に記入をします。

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