◆意義と目的

今まで説明してきました原価計算は、製品原価を計算する際に製造原価の全てを集計して計算をしてきました。このような原価計算を全部原価計算といいます。

これに対して、直接原価計算は、製造費用を変動費と固定費とに分けて、変動費だけで製品原価を計算し(変動製造原価)、固定製造費用は期間費用として計算されます。

さらに、販売費及び一般管理費も変動費と固定費とに分けて計算します。

変動費は、売上高に比例して発生するもので、固定費は売上高の増減に関わりなく一定額発生すのものです。

直接原価計算は、原価計算という名称はついていますが、損益計算という部分の方が強くなります。

変動費と固定費に分けて損益計算を行いますので、全部原価計算よりも、売上高に対応する費用と利益との関係を明瞭に知ることが出来ます。利益予測や目標利益を得るための売上高の予測などをすることが出来ます。

◆計算方法と記帳

●直接原価計算における損益計算は、次のように行われます。

売上高−変動売上原価=変動製造マージン

変動製造マージン−変動販売費=貢献利益

貢献利益−固定費=営業利益

●直接原価計算による損益計算書は次のようになります。

売上高                      ××
変動売上原価
 期首製品棚卸高       ××
 当期製品変動製造原価 ××
   計                 ××
 期末製品棚卸高        ××  ××
  変動製造マージン          ××
変動販売費                ××
  貢献利益                ××
固定費
 固定製造間接費       ××
 固定販売費・一般管理費 ×× ××
  営業利益                  ××

※売上原価は変動費だけで計算されます。変動製造原価は、直接材料費・直接労務費・直接経費・変動製造間接費からなります。期首製品及び期末製品の棚卸高も変動費だけで計算されます。

※固定製造間接費は、製造原価を構成せず、全額が期間費用として処理されます。

◆固定費調整

直接原価計算による利益と全部原価計算による利益とを比べた場合に、両者の金額が異なる場合があります。

これは、直接原価計算では、期首及び期末棚卸資産に固定製造間接費が含まれていないためです。

直接原価計算による損益計算は、現在、外部報告用に利用することは出来ないことになっています。

そこで、外部報告に際しては、全部原価計算によって計上される損益に計算し直して表示しなければなりません。

このために行う調整計算のことを固定費調整といいます。

●直接原価計算の利益から全部原価計算の利益への調整計算は、次の①か②により行います。

①直接原価計算の利益+期末棚卸資産に含まれる固定製造間接費−期首棚卸資産に含まれる固定製造間接費=全部原価計算の利益

②直接原価計算の利益+固定製造間接費予定配賦率×(期末棚卸資産在庫量−期首棚卸資産在庫量)=全部原価計算の利益

●なお、全部原価計算の利益から直接原価計算の利益への調整計算は、次の①か②により行います。

①全部原価計算の利益−期末棚卸資産に含まれる固定製造間接費+期首棚卸資産に含まれる固定製造間接費=直接原価計算の利益

②全部原価計算の利益−固定製造間接費予定配賦率×(期末棚卸資産在庫量−期首棚卸資産在庫量)=直接原価計算の利益

◆原価・営業量・利益関係分析

向こう1年間に獲得すべき目標利益を計画し、実現するために1年間の短期利益計画を立てます。その際に、原価を変動費と固定費とに分解して、原価・営業量・利益関係の分析が行われます。このことを、損益分岐分析ともいいます。

ここでは、損益分岐図表については、説明を省略させていただきます。

売上高に対して、固定費と変動費の合計が等しくなる点を損益分岐点といいます。損益分岐点売上高は、利益が0のときの売上高であり、それを超えれば利益が発生し、それ未満であれば損失が発生することになります。

●損益分岐点売上高を求める計算式は次のようになります。

損益分岐点売上高=固定費/(1−変動費/売上高)

●この算式のうち、関連する計算式は次の通りです。

変動費/売上高 のことを変動比率といいます。

(1−変動費/売上高)は 貢献利益/売上高 でもあり、貢献利益率といいます。

●目標利益をあげる売上高を求める計算式は次の通りです。

目標利益をあげる売上高=(固定費+目標利益)/(1−変動費/売上高)

●更にですが、次の計算式も覚えておくと便利です。

損益分岐点の販売数量=固定費/製品単位当たり貢献利益

目標利益をあげる販売数量=(固定費+目標利益)/製品単位当たり貢献利益

◆原価予測の方法

原価を変動費と固定費とに分解することは、原価予測のためにも必要となります。生産量や販売量を増減させたときに、原価はどう変化するのかについて正確な情報をもっていなければなりません。

原価予測の方法には、いくつかありますが、2級の試験では、費目別精査法と高低点法が出題範囲となっています。

(1)費目別精査法

過去の経験に基づき、費目を精査して、変動費と固定費とに分類する方法で、勘定科目別精査法ともよばれます。

(2)高低点法

過去のデータのうち、その費目の最高の業務量のときの実績データと最低の業務量のときの実績データから、原価の推移を直線とみなして、変動費と固定費とに分類する方法です。具体的には、次のように計算します。

●まず、次によって単位当たり変動費を計算します。

単位当たり変動費=(最高の業務量の原価−最低の業務量の原価)/(最高の業務量−最低の業務量)

●次に、固定費の金額を次のいずかで計算します。

①固定費=最高の業務量の原価−単位当たり変動費×最高の業務量

②固定費=最低の業務量の原価−単位当たり変動費×最低の業務量

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