◆工業簿記の本質
●工業経営の特質
商業経営…購買活動 → 販売活動
工業経営…購買活動 → 製造活動 → 販売活動
工業簿記の特質は、製品の製造活動を行う点にある。
●工業簿記の特色
工業簿記は工業経営に適用される複式簿記であり、製品の製造活動(原材料を購入し加工され、仕掛品となり、製品となっていく過程)について、複式簿記によって組織的に記帳、計算を行う。
◆原価
●原価の意義
原価とは、原価計算基準において、「経営における一定の給付にかかわらせて、把握された財貨又は用役の消費を、貨幣価値的に表したものである。」と定義されています。
わかりやすく言うと、「ある製品を作るためにかかった費用はいくらか」となるかと思います。
●原価の要素、種類、態様
製品の原価を構成する要素を原価要素といい、様々な観点から次のように分類されます。
①材料費、労務費、経費
原価の発生形態から、材料費、労務費、経費の3つに分類されます。
②直接費と間接費
製品との関連から、直接費と間接費の2つに分類されます。
直接費は、特定の製品の製造のために消費され、その製品の原価として直接集計出来るものです。
間接費は、各製品の製造のために共通に消費され、特定の製品の原価として直接集計出来ないものです。
③実際原価と予定原価(見積原価、標準原価)
製造を行った後に算定するか、製造を行う前に予定として算定するかによって、実際原価と予定原価の2つに分類されます。予定原価は、更に、予定の仕方によって、見積原価と標準原価に分類されます。
④変動費と固定費
操業度の増減によって、原価発生の態様がどのように変化するかによって、変動費と固定費の2つに分類されます。
⑤全部原価と直接原価
集計される原価の範囲によって、全部原価と直接原価の2つに分類されます。
◆原価計算
●原価計算の意義
原価計算とは、製品または役務を生産・販売するために消費されるべき、あるいは実際に消費された原価を、その費目別、消費場所別および製品別または役務別に記録・計算・分析して、製品原価、仕掛品原価、売上原価などを明らかにする理論と技術だある。
●原価計算の目的
原価計算の目的は、原価計算基準では次のようになっています。
(一)企業の出資者、債権者、経営者等のために、過去の一定期間における損益ならびに期末における財政状態を財務諸表に表示するために必要な真実の原価を集計すること。
(二)価格計算に必要な原価資料を提供すること。
(三)経営管理者の各階層に対して、原価管理に必要な原価資料を提供すること。ここに原価管理とは、原価の標準を設定してこれを指示し、原価の実際の発生額を計算記録し、これを標準と比較して、その差異の原因を分析し、これに関する資料を経営管理者に報告し、原価能率を増進する措置を講ずることをいう。
(四)予算の編成ならびに予算統制のために必要な原価資料を提供すること。ここに予算とは、予算期間における企業の各業務分野の具体的な計画を貨幣的に表示し、これを総合編成したものをいい、予算期間における企業の利益目標を指示し、各業務分野の諸活動を調整し、企業全般にわたる総合的管理の要具となるものである。予算は、業務執行に関する総合的な期間計画であるが、予算編成の過程は、たとえば製品組合せの決定、部品を自製するか外注するかの決定等個々の選択的事項に関する意思決定を含むことは、いうまでもない。
(五)経営の基本計画を設定するに当たり、これに必要な原価情報を提供すること。ここに基本計画とは、経済の動態的変化に適応して、経営の給付目的たる製品、経営立地、生産設備等経営構造に関する基本的事項について、経営意思を決定し、経営構造を合理的に組成することをいい、随時的に行なわれる決定である。
●原価計算の種類と形態
実際原価計算と予定原価計算があり、予定原価計算には、標準原価計算と見積原価計算があります。
個別原価計算と総合原価計算
全部原価計算と直接原価計算
◆工業簿記の構造
●勘定体系
工業簿記特有な勘定科目として、次のようなものがあります。
材料、賃金給料、経費、製造間接費、製造または仕掛品、製品、売上原価
●決算手続・財務諸表
工業簿記における決算手続きは、商業簿記と同様にすすめられます。また、財務諸表として製造原価報告書が作成されます。
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